背景

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背景

近年の観光・旅行産業においては、「モノ消費からコト消費」と言われるように体験が重視され、旅行のスタイルも団体旅行から個人旅行へ変化するなど、国内外の旅行者のニーズが次第に変わりつつあります。そんななか、旅行者のニーズに対応するため、「ガイド」の持つ役割が重要視されています。実際に全国の自治体では、地域通訳案内士制度の導入やガイドの育成事業が進められているほか、宿泊・観光施設の運営事業者が独自にガイドの育成を推進するなど、具体的な取り組みも数多く見られるようになりました。また、ウェブサービスを介して、個人がアクティビティを提供する形態も増加しています。


このような背景のなか、当協会は2020年9月に、世界の主要な8つの国・地域におけるガイド制度について調査・編纂した『ガイド白書 2020』を刊行しました。本書の調査結果によると、資格・認定取得のための試験や研修などは各国で整備されているものの、ガイドのサービス品質に関して国際的な基準が設けられていないことがわかりました。例えば、UNWTO(国連世界観光機関)では観光施設や旅行業者向けのガイドラインを整備しているものの、ガイドの行動基準について公開されたレポートは見受けられませんでした。国家間のサービスの交換を助けるために標準化活動の発展を促進するISO(国際標準化機構)では、観光サービスに関する国際規格の整備を進めている一方、宿泊施設や各種アクティビティに関する規格開発に留まっており、ガイドの項目は含まれていません。


当協会は、ガイドが旅行者を案内するために求められる素養には、使用言語や案内する場所を問わず、共通している点が数多くあると考えています。ガイドに対して普遍的に適用できる品質基準があれば、様々な団体・個人がガイドを育成する際の指針として活用することができ、中長期的にサービス品質の向上にも繋がると考えています。


そのため当協会は、「ガイドスキルマップ」と題して、ガイドに求められる標準的な素養を定義しました。第1部「はじめに」では背景や定義、第2部「領域・スキルセット・行動基準」では全体像やそれぞれの領域・スキルセットに関する詳細説明、第3部「ガイドスキルマップの活用」では具体的な活用方法や期待される効果、今後の展望について述べています。

「ガイドスキルマップ」を多くの団体・個人に活用いただくことで、一人でも多くのガイドが育成され、日本におけるガイドサービスの品質が向上することに貢献できることを願っています。
また、「ガイドスキルマップ」に対するご意見、ご感想は、ぜひ当協会宛てにお寄せいただければと思います。